22:混沌
「くそ!!死に損ないのくせにでしゃばりおって!」
声を荒げているのは、先ほど戦線から離脱してきたリクだ。
「どうしたんだ?リク。」
そんなリクを見て、カイが声をかける。
いつもは異常なまでに冷静さを保っているリクがこのように動揺するのは初めてのことだった。
「具合が悪いの?リクちゃん?」
ソラも心配そうにリクを見ている。
「大丈夫よ・・・。今はだいぶ落ち着いてる。」
先ほどは声を荒げていたものの、戦線にいたときとは比べものにならないくらい。いつもの冷静さを
取り戻していることは事実だった。
「不甲斐ないねぇ。」
先ほどまで黙っていたクウが、カイとソラとはまったく正反対の言葉をリクに浴びせる。
「自分に負けて取り乱す、敵は倒せない、手駒は失う。最悪だね。」
その言葉に、リクは反論できずに、唇をかむ。
「クウくん!そんな言い方ないんじゃないの?リクちゃんだってがんばったんだから!」
「そうだよ。クウが実際に戦ったわけでもないのに・・・。」
クウの言葉に対して、ソラとカイがリクをかばう。
「いいのよ。クウの言っていることは、間違ってないわ。すべては私の責任よ。
この落とし前はきちんと自分でつけるから。今度こそ・・・。」
リクにはいつもの冷静さが完全に戻ったようで、ここぞとばかりに責めようと思っていた
クウは、残念そうに肩をすくめて、「勝手にしなよ。」と言い、どこかへ行ってしまった。
「リク、あまり無理はしないで、少し休めよ。」
「ええ。しばらく休むつもりよ。それに、やつらの行動をしっかり観察しなくては。」
「それならあたしも手伝う!!」
カイの心配をよそに、リクは次の手を考え、にやりと口を歪ませた。