8:いざ異世界へ2

 

「秋羅!水汲んできたわよ!」

「ああ、ありがとう。そこにおいといてくれ。」

由衣たちの前には、3人の負傷者が横たわっている。

女の子が1人に男の子が2人。

どうしてこんなことになったのか・・・

それは今から約2時間前・・・・・・

 

 

ドォォォォォォォォォン・・・・

 

由衣たちが「Gate」をとおってこちらの世界に来てすぐに大きな爆発音がした。

爆発音の方向をみて秋羅の顔が強張る。

「今の爆発音。大きかったわね。」

「本当ですね。やはり今もなおこの世界が蝕まれ続けている証拠なのですかね。」

「いや、わからないが今の爆発は人為的なものだと思う。

しかも、あの方向は今から行こうとしていた俺達の本拠地の方向だ。」

せっかく12人全員がそろうかもしれないのに、本拠地爆破なんて洒落にならない。

そんな考えが3人の頭によぎる

「とにかく急ごう。」

3人は秋羅のいう”本拠地”へと急いで走った。

距離としてはGateのあった場所からそう遠くはないようだった。

 

何分走っただろうか。

 

何かが燃えている

赤々とした光が前方に見えてきた。

「あそこだ!あそこが本拠地だ!やはりさっきの爆発は・・・一体誰がやったんだ・・・。」

もう少し走ったところで視界が開けてきた。どうやら誰か倒れているらしい。

「瞳!健一朗!美月!」

秋羅は倒れている3人に駆け寄る。

「一体何があったんだ!!」

悔しそうに秋羅は地を殴る

そこはもう全てが赤い炎に包まれていて他に何も残ってはいなかった。

もちろん彼ら以外の人の気配もしなかった。

 

 

「一体何があったのでしょうかね・・・。」

こちらに来ていきなりおきた惨劇に杏も由衣も不安を隠せずにいる

「う・・・。」

その時、こちらの世界の男が目を覚ました。

秋羅が駆け寄る。

「美月。大丈夫か?」

「う・・・秋羅か・・・。ここは?」

「ここは拠点の近くの森の中だ。」

「そうか・・・。みんなは・・・。」

「ここにいるのは俺と健一朗と瞳。それから新しく連れてきた杏と由衣という2人の少女だ。」

美月という名のその男は杏と由衣のほうを向いた

「はじめまして。海月といいます。よく来てくださいました。」

「は・・・はじめまして。麻生由衣です。」

「あ・・・唐山杏です。」

美月のあまりの紳士ぶりに由衣も杏も少し緊張している。

「美月。一体何があったんだ。他の皆はどうしたんだ。」

美月は悔しそうに話を始めた。

「本当に突然のことで僕にもよくわからないのだけれど、

大きな竜巻みたいなものが襲ってきて、爆発が起こって・・・。

僕はみなの所在を探して歩きまわり、とりあえず瞳と健一朗は見つけたんだが

そこで何者かによってまた攻撃が加えられ気を失った。

他のみんなの所在はわからない。気がつくとここに横たわっていたんだ。

本当に面目ないよ。力を使う余裕すらなかった・・・。」

「いや自分を責めるな美月。健一朗と瞳だけでも残ってくれていてよかったよ。」

「すまない・・・。」

 

「う・・・ん。」

「う・・・・。ここは??」

話が終わると他の二人も気が付いた。

「秋羅!来て!他の二人も気が付いたわよ!!」

秋羅は二人の所へ行き杏と由衣を紹介してからこれまでのいきさつを話した。

「そうだったんだ・・・。やはり崩壊は人為的なものだったんだな。」

「あたし・・・何が起こったんだかさっぱりわからなかった。そんなことが・・・。」

「とりあえず明日はこの森を東に抜けた所にある小さな村に行くことにしよう。

いろいろ調達しなければならないものもあるしな。」

今後の行動を秋羅が決め、とりあえず今日は休む事にした。

 

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