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25:眠り姫

 

「お嬢様はもう何日も眠り続けておられます。ロードで帰ってこられたあの日以来・・・。」

陸の神殿からラウン村に戻り、準備を整えてから、歩いてルーブ市まで向かうという道のりで、

丸三日かけてルーブ市市長邸に着いた一行。

しかし彼らが目にしたのは、本拠地が襲われた日から眠り続けている光湖の姿だった。

外傷はすでに癒え、昏睡状態というわけでもない。本当にただ眠っているという状態だった。

 

「容態はどうなんですか?」

「今のところは何も分かっていません。原因不明です・・・。」

「何か対処方法は?」

「いろいろな名医をあたりましたが、どの方も手の施しようがないとのことで。」

「そうですか・・・。」

何とか打開策がないかと、執事にこれまでの状況を聞く海月だったが、

状況は悪いままであることが明確になっただけであった。

「くっ・・・・またふりだしに戻っちまったか・・・。」

落胆の言葉を漏らしたのは秋羅であるが、みんな秋羅と同じ気持ちなことは、明らかだった。

 

これ以上状況が変わらないと判断した秋羅は、宿を取るためにルーブ市市街へと出て行った。

萌花、大樹、瞳、健一朗、海月の五人は、宿が取れるまで、居間でくつろがせてもらうこととなり、

光湖の寝ているベッドの傍らにいるのは、由衣と杏の二人となった。

 

「光湖さんって、本当に綺麗ね。みんなが言ってた通り。」

由衣は光湖の顔をじーっと見つめながら言葉をもらす。

「本当に綺麗ですよね。私も同じこと思ってました。」

杏も光湖の顔をじーっと見ている。

長くウェーブした髪の毛は薄い青。肌は健康的な白。金枠のベッドと純白の毛布、

枕元に置いてある花、みんな彼女に似合っている。”美しい”とはこういうことだ

と思わせるような容姿を持った女性。それが光湖だった。

「でも、性格はちょっと怖いとかって、大樹くんあたりが言ってたっけ。」

光湖を真剣な顔で見ていた二人に「ふふふ」と小笑いが起きる。

 

 

 

「・・・・・の・・・・・ず・・・を・・・・・。」

 

 

 

「・・・・?杏、今何か言った?」

「いえ、由衣さんこそ、何か言いませんでした?」

「え・・・私は何も言ってないけど。」

突然、二人の耳に、誰かの声がした。

弱々しく、ところどころ途切れているが、確かに誰かの声だった。

 

二人がその声を聞いた直後、眠っている光湖の体が、淡く青く光りだした。

「何??この光は・・・。」

 

 

「せい・・・の・・・ず・・を・・・・がし・・。」

 

 

「また声がしました。いったい誰なんですか?」

 

やがて淡い光は強い光に変わり、巻き起こる風と共に、空間を一瞬にして飲み込んでしまった。

辺り一面は白い色に包まれ、光湖が横たわっていたベッドや

由衣と杏が座っていたイス、部屋にしかれていた絨毯など、全ては消え失せ、

白い色のみが支配する、何もない空間に変わった。

 

「一体どうなってるの??何が起こったの??」

「ここは、どこなんでしょうか・・・。」

もちろんこのような状況に、二人は困惑するばかり。

 

「生命の水を探してください。」

 

声がする。今度ははっきりと聞こえる声。

「誰かいるんですか??」

「生命の水って何なのよ!」

その声に反応し、二人は辺りを見回す。

 

「生命の水を探してください。」

声と共に、一人の女性が姿を現した。

それは、まさしく、先ほどまでベッドに横たわっていた光湖であった。

体を、淡く青い光が包み込み、横には光の球体のようなものが浮かんでいる。

 

「あなたは、光湖さん・・・ですよね?」

「さっきまでベッドに横たわって眠っていたはずなのに・・・。」

突然現れた光湖に、由衣も杏もただ驚くばかりである。

「私は今、あなた達の精神に直接語りかけています。神精の力を借りて・・・。」

「神精?」

「はい。命を司る神精のメイの力です。」

光湖の横で光り輝く球体は、よく見るとアザラシのような生き物で、

どうやらこの生き物が命を司る神精、メイのようだ。

 

「でも、神精は神の分身なんですよね。そうすると、神精は、

私たちの敵である神と同様に、私たちの敵になるんじゃないでしょうか。」

陸の神殿で、美月と秋羅と萌花が言っていたことを思い出し、杏は不安そうな顔をする。

 

「私たち神精と石に選ばれた戦士達は心と心が繋がっています。

ですから、あなた達の神精も、もちろんあなた達の味方ですよ。」

メイは光湖と顔を見合わせてにこっと笑い、答えた。

その答えを聞いて、杏と由衣が安心したところで、光湖はもう一度本題を持ち出す。

 

「生命の水を探してください。」

 

 

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