10:敵!?

 

一行は近くの村へと歩みを進めていた。

秋羅と美月は今後の事を話し合いながら

由衣と杏と、

それから瞳という、とても明るく、腰くらいまである長いストレートヘアの少女と、

健一朗という、優しい面持ちで、少し長めの黒髪の青年、

の四人は会話をしながら歩いていた。

会話の内容は、お互いの自己紹介みたいなものだ。

「ねえねえ!由衣ちゃんと杏ちゃんと健一朗くんって何歳なの?」

大体積極的に質問を投げかけるのは瞳だった。

「私は17歳。高校二年生よ。」

「私は16歳です。」

「僕は17歳。」

「へぇ〜、じゃあみんな大体同い年くらいなのね。あ、ちなみにあたしは17歳ね。」

由衣も杏も健一朗もこのような瞳の質問攻めにあい、たいていの個人情報は

聞き出されてしまった。

「しっかし、瞳ちゃんってよく喋るのね。」

由衣は、あらかたの質問を終えて満足している瞳を見て、しみじみと口を開いた。

「そうかな〜?う〜ん、まあ、そうか。よく友達や家族から言われるしね。」

 

「おい!そろそろ村に着くぞ!早く来い!」

前を歩いている秋羅が由衣たちに向かって叫んだ。

いろいろ話している間に秋羅たちと由衣たちとの距離は、かなり開いてしまっていたみたいだ。

「今行くわ!!」

由衣たちが走り始めようとしていた

 

そのときだった。

 

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・

 

突然地面が激しくゆれ始めた。

「何?何?」

「な・・・こんなところで地震・・・!?」

 

ドゴォォォォォン

 

地震だけかと思いきや、今度は地面が激しく裂け出始める。

「キャァ!」

「わっ!」

「よっと。」

各々は地割れをうまくかわして、一箇所に集まる。

 

しばらくすると地震はぴたりと止まり、二人の女が姿をあらわした。

「フフフ・・・。意外とすばしっこいのね。あなた達。それともリクが油断したの??」

「私は油断などしていない。これは予想外だわ。」

どうやら先ほどの地震はこれらの二人の女のうちの一人の仕業らしい。

「あなた達は一体・・・。」

このような経験のない由衣たち四人は突然の事に困惑する。

「私はリク。」

「あたしはソラだよ!あたし達、あなた達を消しにきたの。」

ソラと名乗るツインテールの十五歳くらいの少女は

その恐ろしい言葉のあとにキャハハと楽しそうに笑った。

リクと名乗る少しウェーブした長い髪の毛の女は鋭い目つきでこちらを睨んでいる。

「・・・敵か!?くそ!早すぎる・・・。」

「敵!?」

「とにかく僕と秋羅で戦うしかない!君達四人はどこかに隠れてください!」

「わかった。」

美月の指示に従い、急いで由衣達四人は近くの草むらに隠れる。

「あら、どうやら戦えるのはあなた達二人だけみたいね。これなら簡単に片付けられそうだわ。」

「え〜!?な〜んだ、ソラつまんない!」

秋羅と美月は各々石を取り出し、戦闘の準備にかかった。

二人が取り出した石がかすかに光り始める。

「そんなに余裕でいいのか?やってみなくちゃわからないだろ!」

秋羅が叫ぶとともに、秋羅のまわりにまばゆい光の玉が数十個でき、ソラとリクの方向へと飛んでいく。

 

ヒュン!ヒュン!ヒュン!・・・・

 

ソラとリクはそれらをさらりとかわす。

「なめないで。その程度で私達を相手にするなんて、百万年早いわ。」

リクは手にしている棒のようなものを振りかぶり、地面にたたきつける。

 

ドゴォォン!

 

大きな岩が数個空に浮かび上がり、秋羅と海月を襲う。

美月は両方の掌を岩のほうに向けると、掌から水球を打ち出し、岩を一個一個破壊していく。

美月の掌から繰り出された水球は見事に全ての岩を破壊した・・・

はずだった。

しかし、岩が飛んできた方向とは全く違う方向から、数個の岩が美月に向かって襲い掛かる。

「うわ!」

美月はそれらの岩をもろにくらってしまった。

「う・・・な・・なぜ。全て破壊したはずだったのに。」

「美月!油断するな。たぶん空間移動で岩を別の方向に移動したんだ。」

秋羅は間髪いれずに手を鉄砲の形に組み、短い光線を発射させる。

「フフ。無駄よ。」

 

ヴォン・・・・・

 

ソラは余裕の笑みを浮かべ、両手を広げると、

秋羅の手から発射された光線は全て消えてしまった。

そして、秋羅の真後ろから先ほど消えたはずの光線が秋羅自身に向かって飛んでくる。

「くっ!」

秋羅はそれを予測していたためとっさに避けるも、やはりいくつかの光線は

秋羅の腕や足にいくつかのかすり傷をおわせた。

「あたしは今、空間を歪ませて一旦異空間へとあなたの攻撃を送り込み、

あなたの後ろに空間の歪みを作り出して、異空間から攻撃を発射したの。

だから、あなた達の攻撃は効かないわ。キャハハハ☆」

ソラは自慢げに今起こった動作を話す。

もっとも、能力が知れたところで、その能力を打ち負かすためには、

2人という人数は少なすぎて、太刀打ちできないのは明らかだった。

「くそ・・・どうすれば・・・・・。」

秋羅と美月が必死に策を考えていたその時だった!!

 

ゴォォォ!ドォン!

 

「キャァ!な・・・何よ!」

ソラの背後から不意打ちの攻撃が加わった。

 

 

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