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1:非日常の序曲

 

不思議なことというものは突然起こるものだ・・・。

 

 

「いってきま〜す!!」

バス停までは歩いて五分くらい。七分後くらいにバスが来るから、

バスには余裕で間に合う時間だが、由衣は全速力で走った。

こうすると、風がまだ眠気の残る顔にあたって気持ちいいのだ。

 

「はぁーーー・・・。」

バス停での手持ち無沙汰な時間。由衣の口から大きなため息がこぼれる。

麻生由衣は毎日毎日同じことの繰り返しでうんざりしていた。

学校へ行って、勉強して、部活をして、帰路に着く・・・。それだけの一日。

今日もまた昨日とは、なんら変わりのない一日が始まるのだ、と思うと脱力する。

 

ブゥーーーーン

プシューー

 

バス停にバスが到着した。

高校に入ってから嫌というほど見てきた光景だ。

そして、嫌というほど行ったバスに乗るという行動・・・。

 

プシューー

ブゥーーーーン

 

バスの中はいつも通り、混んでもいないし空いてもいない。

二人席には二人座れるはずなのに、大体一人が縦横無尽に腰を下ろしている。

まあ、由衣が二人席に座るときだって、たいていそういう風に座るのだから、結局は何も言えないのだが。

そんなことを考えつつ、つり革につかまって十五分くらいで、学校に着く。

 

「おはよー。由衣。」

「おはよう麻生さん。」

「おはよう。」

校門を入って下駄箱を通り、何人かの友人と笑顔で朝の挨拶を交わしつつ、教室に入る。

にこっという笑顔も、作っているのか、素で出ているのかわからないくらい決まりきった行為だ。

それから自分の席について、授業の予習をするために教科書とノートを開く。

朝のホームルームが終わると、これから午前二時間午後二時間の退屈な授業が始まるのだ。

 

今日の授業は国語・数学・体育・英語。

どちらかというと体育会系の由衣にとって体育があるのはうれしかったが、

国語・数学・英語などのじっとしている授業は、由衣にとってかなり退屈だった。

四時間の授業が終わると、次は部活動。由衣は料理部の所属していた。

中学校の頃は、陸上が好きで陸上部に所属していたが、

高校では、なんとなく変わったことがしたくて料理部に入ったのだった。

料理は嫌いではなかったが、特に家でするわけでもなかった。まあ、趣味の一つってやつだ。

 

 

「バイバ〜イ!」

「また明日ねぇ〜。」

やがて部活動も終わり、一日が終わろうとしていた。

 

「なんかかわったことないかな〜。」

そんなことを独りごちながら、階段を下り、下駄箱まで向かう。

やがて、下駄箱につき扉を開ける。そこには自分の赤い運動靴だけが入っている

はずだった。

 

ガチャッ

 

「ん?なんだこれ。」

しかし、今日はいつもと違っていた。

そこには由衣の赤い運動靴だけではなく、

赤くて綺麗な色で、掌くらいの大きさの石が入っていたのだ。

「わ〜!綺麗な石!」

由衣はその石を手にとってみる。

「なんだか惹かれるな〜。」

由衣は普段、装飾品や宝石などに憧れを抱いたことは、あまりなかった。

だから家にある装飾品も、シンプルな黒い装飾なしの指輪と、

小さい飾りのついたペンダントだけと、少ないのだ。

それなのに、こんなにこの石に惹かれている自分がいる。

由衣は少し迷った挙句、その石を持って帰ることにした。

別に誰かが間違って入れたわけでもないだろうし、そう高価なものにも見えなかったからだ。

それに、なんだかそれは、自分のものであるような、変な感じがしたのだ。

その時その石が彼女の運命を変えるとは思いもしなかったのだが・・・。

 

 

 

 

「いってきま〜す!!」

次の日。また今日も何の変哲もない一日が始まる。勉強、部活、帰り。

今日の授業は数学・国語・社会・英語。退屈な授業が続く最悪の日だ。

「はぁーーー・・・・・。」

昨日に引き続き、朝からため息がこぼれる。

このため息さえ昨日と同じ動作ということが、さらに由衣を脱力させた。

 

今日は、バスが出る十分も前に家を出てしまったため、

さすがに走ろうとは思わなかった。もし走りでもしたら、バスを待つ時間が長くなってしまう。

 

「ねえねえ君?」

突然、バス停まで行く途中。誰かに声をかけられた。

その声に思わず振り返ってみると・・・。

 

ヒュン!

 

なにかが、なにか光る棒みたいなものが、由衣の目の前をさっと横切った。

「な・・・何?」

光が飛んできた方向を見ると自分と同じ歳くらいの男の子が立っていた。

「俺、秋羅っていうんだ。今暇かな?」

 

 

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